酒類卸売業界の営業は、酒税法上の免許制度という他業界にはない制約の上に成り立っている。免許を持たない主体が酒類の売買契約を直接締結できず、営業活動の範囲そのものに法的な線引きが存在する。加えて既存の商流・取引慣行が根強く残る業界であり、新規開拓が既存代理店との関係を損ねないよう配慮する必要もある。

酒税法免許が引く営業活動の一線

酒類の卸売販売業免許は法人単位で取得するものであり、外部の営業代行が免許を持たない場合、契約締結や価格交渉といった行為そのものを代行できない。したがって営業代行に依頼できるのは、あくまで契約主体である自社に代わっての情報収集・関係構築・商談機会の創出といった周辺業務に限られる点をまず押さえておく必要がある。

具体的に委託しやすいのは次のような業務だ。

  • 飲食店・法人向け新規開拓のリストアップとアプローチ
  • 商談機会の獲得・アポイント設定
  • 既存取引先へのフォロー連絡・ヒアリング
  • 展示会・商談会での一次接点づくり

契約締結や価格・条件の最終交渉は、免許を保有する自社担当者が必ず関与する形が前提となる。新規開拓のアプローチ担当は2〜3名程度の体制で運用されることが多い。

ポイント:営業代行の活用範囲は「商談の入口まで」であり、契約行為そのものは自社の免許保有者が担う線引きが必須だ。

飲食店は即断、法人・チェーンは本部承認という決裁差

飲食店向けは店舗オーナーの裁量で決まりやすい一方、法人向けは購買部門の承認を要し、既存の取引先との比較検討が入るケースが多い。

取引先タイプ決裁スピード主な検討要素
個人経営飲食店速い(数日〜1週間程度)価格・納期・担当者との関係
チェーン飲食店やや遅い(2〜4週間程度)本部承認・条件統一性
一般法人(接待・贈答用)案件依存予算・銘柄イメージ

既存代理店の縄張り意識が強い地域もあり、商圏が半径10〜20km程度に限定される地場代理店も多いため、新規開拓の進め方によっては軋轢を生むこともある。営業代行に依頼する際は、対象エリアや取引先候補について事前にすり合わせ、商流上のトラブルを避ける配慮が求められる。

よくある質問

Q. 営業代行が酒類の販売契約を直接結べるか A. 酒類の卸売には免許が必要なため、契約締結は免許を持つ自社が行う必要がある。

Q. 既存代理店がいる地域での新規開拓は可能か A. 商流への配慮が必要なため、対象エリアや取引先候補を事前にすり合わせるのが現実的だ。

Q. 飲食店向け営業と法人向け営業で違いはあるか A. 決裁スピードや検討要素が異なるため、アプローチ方法も分けて設計する必要がある。

Q. 免許を持たない代行会社に依頼する意味はあるか A. 商談機会の創出や関係構築までを任せ、契約行為は自社が担う分業であれば十分価値がある。

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