営業組織で起こりがちな課題の一つに、トッププレーヤーがそのままマネージャーに昇進した結果、マネジメントに苦戦してしまうケースがある。営業成績とマネジメント適性は必ずしも相関しない。それでも「数字を出しているから」という理由だけで昇進が決まる組織は少なくない。優秀なプレーヤーを失い、機能しないマネージャーを生む。この二重の損失を避けるには、昇進基準そのものを見直す必要がある。
マネジメント適性を測る昇進基準の設計
昇進基準は営業成績という単一軸から、複数軸での評価へ広げたい。
- 育成志向: 後輩へのOJTやロールプレイ相手を自発的に引き受けているか
- 情報共有の姿勢: 自身の商談ノウハウをチームに開示し、再現性を高めようとしているか
- フィードバック耐性: 自身への指摘を素直に受け止め、行動を変えられるか
- 視座の高さ: 個人目標だけでなくチーム全体の数字や課題に関心を持っているか
昇進判断のプロセス例
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 事前アセスメント | 上記の複数軸について360度評価や面談で情報収集 |
| トライアル期間 | リーダー的役割(サブリーダーなど)を一定期間任せて適性を見る |
| 昇進判断 | 成績に加え、トライアル期間の行動評価を合わせて判断 |
| 昇進後フォロー | マネジメント研修と上位者によるメンタリングを一定期間セットで用意 |
ポイント:昇進は「これまでの功績への報酬」ではなく「これからの役割への適性」を見る判断だ。
昇進基準を明文化し、事前に全社へ共有しておくことも欠かせない。基準が不透明なまま昇進が決まると、「なぜあの人が」という不満が生まれ、組織全体の納得感を損なう。マネジメント適性が低いと判断されたメンバーには、プレーヤーとして高い専門性を発揮し続けられる「専門職コース」など、昇進以外のキャリアパスも用意しておきたい。
昇進後にありがちなつまずき
昇進基準を丁寧に設計しても、昇進後の立ち上がり期には特有のつまずきが起きやすい。
昇進後によく見られる課題
- プレーヤー時代のやり方をそのままメンバーに求めてしまう
- 自分で対応した方が早いと感じ、権限委譲が進まない
- チームの数字の責任を負う重圧から、メンバーへの指摘が過度に厳しくなる
これらは能力の問題というより、役割転換に伴う視点の切り替えがまだ追いついていない状態だ。
フォロー体制の例
| フォロー施策 | 狙い |
|---|---|
| 上位者との定期1on1 | 権限委譲の進み具合や悩みを早期に把握する |
| 同期マネージャー同士の情報交換 | 孤立感を減らし、他チームの工夫を共有する |
| 半年ごとの振り返り面談 | プレーヤー時代の癖が残っていないか確認する |
昇進判断そのものだけでなく、昇進後数か月間のフォロー体制まで含めて設計しておく。それが離職や機能不全を防ぐ。
よくある質問
Q. トライアル期間で適性が見られなかった場合はどうするか A. 昇進を見送り、具体的な課題をフィードバックした上で再挑戦の機会を用意する。
Q. 昇進基準を明文化するメリットは何か A. 評価の恣意性が減り、昇進を目指すメンバーが何を伸ばすべきか明確になる。
Q. マネジメント適性は入社後どの段階で見極められるか A. サブリーダー的な小さな役割を早い段階で任せ、行動を観察すれば一定の兆候をつかめる。
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